発想を切り替える
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昨日のお昼休み、中3四女の担任の先生からの着信がありました
普段は終業時間まで携帯は見ないのにたまたま机上に出したままにしていたので気がついたのですがいつもならその場で電話は取らないんです
何故ならお仕事の特性上、クライアントである先生方の休み時間である昼休みこそお電話が増えるから。
でも昨日は何となくそのまま画面をスライドして電話に出ました

電話が繋がると、挨拶ももどかしいというような雰囲気で先生がこう言いました
「四女さんの入学手続き、本日12:00までだったんですがどうなっていますか?」
はい??え?入学手続き?え?12:00?いま12:20ですが?

わけもわからず頭の中に?だけが渦巻くわたしに、先生は努めて落ち着いた声で状況を説明してくれました
合格者発表の後、自宅宛に高校から郵便物が発送されたということ
その中に入学手続きに関することが書かれた書類が入っていたこと
提出期限が本日12:00となっており、未対応ですけれど入学は辞退ですかと高校から中学校へ問い合わせがあった、ということ。

うっそ、まじ?そんなものは届いていないのですが…
で、今日これから高校へ行くことは出来ますか?と言う。
ええ!あと30分で行って帰って?えええ!
う、でも仕方ない…行きます、行って来ます、間に合うように頑張ります!!

期限を1時間延長してくれるとのことなのですぐに会社を出る支度をしました
(「慌てず、何も気にせずに行っておいで」と送り出して下さった会社の皆さん、本当にありがとうございました)

さて、会社を飛び出したは良いけれど。
そういえば数日前に四女が、高校のサイトから見つけた「入学金150,000円」って情報があったなあ。まさかこんなふうに役に立つとは…

慌ててコンビニでお金をおろして、封筒に入れて握りしめ、駐車場に猛ダッシュ。
終日400円の駐車場なのに…今日は800円かかるんかーい、とか
なんともケチくさいことをうっすら考えながらエンジンスタート。

ほんっとに良かった。
会社から高校までは帰宅時間なら大、大、大渋滞の駅近幹線道路。
昼下がりだからこそ10分で行ける距離、ありがたや…
ほんの2年前まで次女が通った高校ですから勝手知ったる、てなもんで
事務室に駆け込んで名前を告げてお金を手渡してなんとかぎりぎりセーフ!
領収証を作成する間に、ということで今後の準備物などの説明を受ける。

制服を作れ、靴を買え、体操服を買え、学債を買え。
買え、買え、買え、買え…
いったい何十万円かかるんだろうかと目をまわしかけた、そのとき。
「次年度入学者には更にiPadを購入していただきます」

はぁああああ???
iPad第八世代(Wi-Fiモデル)はちまんごせんいぇんん??
なんでそんな金額なわけ、せいぜい5、6万円てところじゃないの?
えー、しかもなんでどして個人購入なの…
二の句のつけないわたしに、畳み掛けるように事務員さんが言う。
「新しい試みで、保護者の方にはご負担かとは思いますが…」って。
負担だろうけど決めちゃったんだよね、だから払ってね、ってことね

これが私立の怖いとこ。
やれ出せほれ出せ金を出せ、出せ出せ出すんだ出ないところからでも出しやがれ攻撃。
私立はお金にはエグいですよ。
うん、そりゃ公立の比じゃない、ほんとすごい。

公立学校は、○○が必要だ、となった場合
やれ会議、それ会議。会議に次ぐ会議会議で検討します、調査します善処します、と話し合いばっかり攻撃で進捗に数年かかるのは当たり前。
公費で負担される部分が殆どなのでお役所仕事で何もかもがすごく遅い。
仮にiPadを導入しようかという話が学校現場から上がるなら(上がるわけないのが実情なんだけど、まあ仮に、ね)
たぶん2、3年は軽くかかるよね実施まで。5年以上かかるかもね。
というスピード感なんです。

で、思うところがあったので試しに聞いてみました。
「自宅にあるものを使ってはいけない理由は何ですか?」
するとその事務の人はわざわざ”担当者”という方を呼んで来てごにょごにょしたかと思うとしばらくして
その、年配の担当者さんという方がわたしにつかつかと歩み寄り
「何かご質問があれば承りますが」と必要以上に丁寧に聞くものだから、再度聞き直しました
なぜ、自宅にあるiPadを使わせてはいけないのですか?

するとその担当者さんは、わたしの訴えをいかにも理解したような気の毒そうな表情を一度見せたのち
相変わらずゆっくりとした口調で、けれども有無を言わせない揺らぎのない感じでこう続けました
「全員同じアプリの入ったiPadとなっておりまして、ご家庭のものとは違うため
大変申し訳ないのですがご家庭にあるものはお使い頂けないのです」

この返答を聞いた時、私立も終わったんだなとわかりました。

遡ること5年前の今時分、次女の入学式の日。
当然いまのわたしと同じように金策に奔走はしたものの
12人兄弟の6番目にして初の私立高校生の誕生ということもあり
さてさて私立とはどんなところや?と楽しみにしていたわたしの耳に
実に素晴らしい言葉が入って来て心に刺さったのを覚えています
それは、校長先生の祝辞の冒頭でした

「この学校に通う生徒達が、1+1を3だ4だ、いやそれ以外だと言うとして
それはそれで良い、とわたしは考えています。ただ
それがなぜそうなのかを説明出来るひとに成長して欲しいと思っています」

いや、なんと素晴らしい。
ここまでハッキリ、かつシンプルに
子ども達それぞれの個性を大切にするという表現をした教育者()がそれまでわたしの周辺にはいませんでした
流石、私立は懐が広いものだと
金金うるさいことも軽々超えて、この学校へ通える次女はラッキーだなあと感じたものでした

ところが今回のiPadを巡るこの体たらく。
同じアプリが入っているものしか使わせない、だなんてね。
iPadの仕様書をまじまじと読めば書いてあるあるお決まりの文句
単純に端末のスペック、業者によるkitting作業費、MDMによる管理代行費、Apple CAREへの加入などなどなど。

業者からiPadを一括購入する際の条件としてKitting作業と3年間のMDM管理費の割引がある、というのなら最初からそう言えば良いじゃない。
同じアプリが入っていることだけが理由だってんならうちのiPadを同一管理下に置けば良いだけのことじゃないかー
単に一台、捻り込ませることが出来ないってことなんでしょう?

「お詳しいのですね」
その担当者さんの、こっちを持ち上げておけば黙るだろうという思惑がスケスケに透けて見えるその嫌らしい猫なで声に悪寒が走りつつ
詳しいか詳しくないかなんてどうでも良くて、やんごとなき事情があると最初から腹を割ってくれれば良かったのにと思うわたしなのでした

そして、同一アプリが入っていないと使えないというその言い草
公立高校の担当者()の物言いとすっかり同じ主張に
とうとう私立は、私立なりの良さも失ったことを確信して非常に残念な気持ちになったというわけでした

これ以上長居は無用、と
「もっと詳しくご説明出来ますがどういたしましょう?」という
もはややんわり殺してさしあげましょうか的お申し出をなんとかお断りして飛んで帰りました

事務所では皆さんが「思ったよりずっと早く戻れたね」と声をかけて下さり
抜けた分をどこにも報告しなくて良いから、と気遣ってくれてとてもありがたかったです

すったもんだあってもなんとか四女の希望の学校への入学の手筈が整ったこと…
手続きの期限切れだったのに対応してもらえた
突然の出費にも対応出来た
いつもなら抜けられないお昼休みに抜けさせてもらえた
何もかもが寸分の狂いなく収まったことを感じれば感じるほど
残念ながらわたしの感じるストレスが肥大化して行くのはなんなのかと思いました

で、今朝のことがあって…
四女の体調の急変、という非常事態であったけれど
奇跡的に今日がお休みだったこと
お化粧も終えていた、お弁当も朝ごはんも出来ていたから対応出来た
何もかもを無事に終えたところで末子のなわとび大会にも間に合った。

毎日ってほんとにこんなことの連続です
気づかずにいるだけで実は奇跡の重なり。
信号がいつどんなタイミングで変わるか
目の前を歩いていたひとが実はいつものタイミングではなくてたまたまそのタイミングだったから
わたしの車と接触せずに済んだ、とか
風を感じたくて窓を開けたからこそ少し遠くから救急車両が来るのに気がついた、とか
とにかく、あらゆる奇跡がパチンぱちんと収まっているからこそ
今という時間がわたし達の目の前にある、ということ。

それをいちいち感じてしまうことはとても疲れるね
でもそれはね、それら全てが自分の意図とは関係のないところで起きているとするからなのかもしれません
つまり、目の前に起きることを自分で選んでいると仮定して思い込んでしまえば
あーね、そりゃね、うんうん。
と、感じることすらなく過ごせるのかも。
思考を切り替えてしまえば楽になるのかもね。

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