ひとがこの世に生まれるとき
わたし達はそれぞれに袋を背負っている
どんな生地で、どんなデザインで、どのくらいの大きさで…
っていうのが”その人らしさ”みたいなもの。
だからひとつひとつぜーんぶ色も形も違う
でも、本人からはその袋がどんな袋なのかは見ることが出来なくて
手探りでそれを感じるしかない
人生という旅を終えてまた天国へ帰るためのチケットは必ず誰もが持っている
失くさないように、落っことさないようにと
大切な大切なそれを、神様はどこか奥深く一番安全そうなところに入れていてくれている
さて、旅の途中わたし達はいろんなものを拾い集める
それは素敵な思い出、美しい風景、楽しかった体験。
どのポケットもそういう幸せがいっぱい詰まっている
でも時にはあちこちぶつけたり汚したり引っ掛けてしまったりで
お気に入りのすてきな袋も傷がたくさん入っていく
あちこちほころびも出来たりしながら旅は続く。
さて、ふとわたし達は思い出す
あれ?天国行きのチケットどこにしまってあるんだっけ…
この前あいたあの穴から落ちちゃっていないかしら…
不安が過ぎる…でも、一度背負った袋は天国に帰るまで降ろせない
「ねえ、わたしのチケットどこにあるか見てくれませんか?」
あなたは誰かにそれを教えて欲しくてあなたの袋を見てもらおうとする
わたしの袋ってどんな色?
手探りで理解したある程度の情報はあるけれど
手が届かない部分のことはよく分からないから
すみませんが、わたしの袋がどうなっているか見てくれませんか?
あなたは誰彼かまわずその大切な袋を差し出すだろうか
もし本当のことを教えてくれなかったらと疑いはしないだろうか
もしかしたらゴツゴツの石をぽっけに入れやしないだろうか
乱暴に扱って、破ってしまいやしないだろうか
ぐるぐるぐるぐる…いろんな思いが交錯する
人生というのはこういうもの。
すべての人は必ず天国行きのチケットを持っている
それが何処にありますか?とあなたは誰に問うだろう
互いに自分の背中は見えない
だからこそ関わり合い、それぞれの持つ袋に触れることを許可する
安心してそれを委ねられる、それが愛するということ
愛は男女のそれだけではなく
互いに同じものを持っていることを知る同士が共有するもの