“裏のお姉さん”にピアノのレッスンをつけてもらいたくて
お手紙を書いて直接コンタクトした六男@中3
小学生の頃に数年間教えてもらったことがあるとはいえ
高学年になったときには当時没頭していたサッカーに集中したいから、とレッスンを中断し
それからは全くピアノに触れることなく過ごしていました
たまたま昨年春、わたしの同級生の実家から電子ピアノを譲り受けたのを機に
毎日少しずつお気に入りの曲をを弾いているうちに
合唱コンクールの伴奏をしたいと考えるようになったようでした
通っている中学校の文化発表会の最大の催しが学校全体で取り組む合唱コンクールなのですが
伴奏者と指揮者はそれぞれオーディションを受けて合格したひとが選ばれるのだそう。
学級に数人はピアノを弾ける子、というのがいて
中3ともなればなかなかのテクニックの子は当然いるわけですが
そこへ参加したい、との思いを日々強めて行き
ならば集中レッスンをお願いしよう!となったようです
もちろん、レッスンにはお金がかかります
真剣にやるから、とわたしにも話がありました
もちろん快諾。
普段から弾いているのを見てきたし
短気で数万円のテニスラケットをへし折るようなボケナスなのにピアノは黙々と続けるんです
天才だとは思わないけれど(笑)
ピアノが好きなんだろうな、と思います
本人曰く、惹かれるフレーズに出会ってそれが弾けるようになると、とても幸せな気持ちになる、んだそうです
六男は三男に性格がよく似ていて
他者との関わりを重んじる傾向があるのですが
それは、実はとても危険なことでもあります
他者を介さず喜びを見出せるようになることを目的に、ひとは生まれるからです
他者を愛することは、つねに自分を愛することとイコールになるのですが
他者を喜ばせたい、と考える癖のあるひとの多くは
自己犠牲を伴う選択をしがちです
そして、その対価としての喜びを得たい。
本当の愛ならば相手がどんなリアクションでも
むしろそれさえ無かったとしても、決して傷ついたりはしません
他者を喜ばせたいと感じた自分を喜ぶからです。
誰かに何かを与えたとき、相手の態度によって傷つくことがあるならそれは愛ではありません
六男もまだまだ途上ですからそこを認めたくなくて
そんなことはない、とあれこれやっています
友達におねだりされたからとケーキを作ったり、クッキーを焼いたり。
でもね、うまくいかないと発狂するんです。
道具をぶん投げたり、材料をぶちまけたり。
そんなエネルギーから生まれるものにどんな価値があるでしょう
まだ、わからないんです
ま、そんな話もまたいつか。
とにかくそんな六男が唯一
誰のためでもなくただ自分の喜びのために取り組んでいるのがピアノ。
素晴らしいな、と評価していたのですが…
今日、突然お友だちから遊びに誘われたからと
レッスンを無断で休んだと言うのです
時間になっても六男が来ないから、と”裏のお姉さん”が尋ねて来て
遊びに行ったと知って帰って行った、って。
裏のお姉さんは、かつては本当に”裏のお姉さん”でしたが
今はぜんぜん別のところに暮らしているおかあさんです
わざわざ六男のために時間を作って出向いて来てくれています
大人の約束を反故にすることが何なのか
これまでも事あるごとに教えて来ましたが、全く伝わっていなかったのだと驚愕しました
は?あんた今まで何聞いてたの??
裏のお宅にはとても良くしてもらっています
言葉に尽くせない感謝の気持ちをどう表しても足りないくらい、お世話になっているんです
なのに、ね。
恩を仇で返すとはこのことですが…
申し訳ない気持ちでいっぱいではあるけれど
いつもお願いしているわたしの気持ちを裏のみんなが理解してくれています
本人と、話してほしいって。
子育てって、本当はこういうものです
してもらっている立場ですが、恥を忍んで皆んなに伝えたいんです。
この場合、わたしがギャーギャー叱るのは超簡単なことなんです
そして、裏のお宅へ謝罪に行くってことも。
でもね、裏のお宅のみんなは本当に素晴らしいご家族で
直接本人にモノ申してくれるんです
他所の子に、モノの道理を伝えるってこと
今の世の中ではなかなか難しいことなんです
昔は近所のガンコ爺さんに怒鳴りつけられたこと、あったでしょう?
「こらー!」って、いつから大人は言わなくなったでしょう
おかあさんとして、世間体を取り繕いたい気持ちはもちろんあります
うちの子がすみませーん、なんつって
言うことを聞かないこの子が悪いんです、わたしはちゃんと躾をしていますってなフリをしようかな
ってことだって過ります
でも、だけど、でも。
そんなことを悶々と思いながらお風呂につかっていたら
「ママ」と外から声をかけて来た六男。
は…なに?
ぜんっぜんお前と口ききたくないんだが?(心の声)
「いま、裏に謝りに行って来た」
「先生に、今日のことすみませんでしたって伝えてくださいってお願いして来た」
ほう。
自分で、そうした方が良いと思って行って来たの?
「うん」
六男、
「うん」
あんた、立派だと思うよ。
ひとは、何度でも失敗する。
大切なのは、それをどう”良いこと”に変えるかってことなんだ
良くなかったと思うことがあるなら謝る
謝らなくてはならないと思ったら実行すること。
これは、大人でも
ううんもしかしたら大人になればなるほど難しくなるのかもしれない
今日あんたは
ひとつ、失敗して
そのおかげでものすごく大切な宝物をひとつ手に入れたんだと思う
自分のプライドとかエゴよりも相手を大切にすることを選びたいと願った、
そんな自分のことをものすごく褒めてあげて欲しい。
ぼく、偉かったなって思いなさい
そしてもう、同じことを繰り返さないために心に刻みなさい
満足そうに
「うん」と言った六男を誇りに思いました
裏のお宅のみんなにはやっぱり頭が上がりません(笑)
素敵なご縁に心から感謝しています