危なっかしくてつい、手を出してしまいそうになる
そんな場面ばかりです。
「あゝ僕がふたりいれば良いのに」
デキる()つもりのひとはそう口にするでしょう
でも、”本当に出来るひと”はそんな言葉は口にしません
どんなにあなたがフル回転しようとも一日は24時間ですし一週間は7日です
オールマイティになんでもこなせるあなたでも
便利に使えるツールを使いこなしたとしても
処理出来る仕事量には限度があることを認めるべきです
あるおかあさんは専業ママですが家事全般をとても丁寧にこなす女性でした
パパや子ども達が家で気持ち良く過ごせるように、と
丁寧なだけではなくて時間を上手にやりくりして
あれこれと多彩な家事をどれも完璧にこなしていました
でもあるとき彼女は、じわじわと感じてはいたのに
そんなもの平気よと誤魔化し続けていた手首の痛みにとうとう耐えかねて病院を受診しました
果たして受診結果は手根管症候群。
これまで身を粉にして家事労働に向き合って来た彼女の手首は悲鳴を上げていました
痛みは非常に強く、ごまかせないところまで悪化していたこともあり
彼女は手術を受けることになりました
僅かな入院生活の間も彼女の心は家の中。
あゝお洗濯物が溜まってる
洗剤の量が違ってる
柔軟剤そんなに入れてどーすんの
食洗機に食器を入れる前には必ず予洗いするのよ
あゝダスターの漂白してないからシミがついたままに…
エントランスにモノを置きっぱなしにしないで
あゝ手洗い場の水垢が…
悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて
彼女は手術の痛みと心の痛みのせいでどうにかなってしまいそうです
でも。
家に帰った彼女を待っていたのは
パパと子ども達の誇らしげな顔でした
「ママがいない間、僕ら頑張ったよ!」
えっへん、とばかりに口を揃える家族たちの視線の先には…
不格好に傾いた洗濯物のピンチハンガー
食べこぼしたものがベタついているダイニングテーブル
まるで違う場所にしまわれた食器たち
足跡が残ったままのフローリング。
さあさあ、あなたならどうする。
なにやってんのよまったく!!と
痛みの残る腕を庇いながら全てを美しく整えますか?
コンチクショーと思いつつも、笑顔が引きつってたとしたって
「ありがとう、良くやってるね」と答えますか?それとも
痛みが辛いせいでイライラしてるのに、と
「そりゃ、あんた達の出した洗い物なんだから当たり前だよね」と返すでしょうか。
一流のプレーヤーが一流のマネージャーになれるとは限らない。
ひとを育てるために必要なものはたったひとつ
あなたの考え方、行動を変えざるを得ない局面が必ず来るだろうと認め覚悟することだけです
そうすれば、その先の方法は自ずと導き出されるでしょう
ひとを育て、それぞれのポテンシャルを最大限活かす指導をする
しかも、それとは気づかれないように。
その困難さの前に胸を踊らせたとしたら…あなたはもう敏腕マネージャーとしての一歩を踏み出したのかもしれません